園芸でちょこっと科学

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タネ大好き。極小ベランダで水耕栽培。世界のいろんな野菜を育ててみたいなあ。

2022年2月2日水曜日

番外編 柿酢とパンの酵母

昨日、おかげさんで無事退院。途中になっていた記事のつづきを書きます。かなりの長文になります。すみません。(なお、帰宅後のベランダ話は後日に。)

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【柿 酢】
先月(1月)のことですが、ご近所さんで一緒に畑を借りている友人から、手作りの柿酢なるものをいただいた。

畑のそばの木からもいだカキのおおかたは干柿にしたが、果肉が柔らかすぎて干せないのを集めて容器にいれ、時々かき混ぜ、のちにこしたものだそうだ。

初めて見るお品。こんなに透明感があるものなんですねえ。

あんまりきれいなので、数日眺めていたら、ペットボトルが傾いてきましたのさ。

ピサの斜塔かあ?実物見たことないけど。

よく見れば、底がふくらんでますがな。


これって、中のガスが増加してるってことですかね。

試しにキャップをとったら、シューッて音がして凹みました。おもろ〜


発酵ってなんかおもしろそう。

【パンの発酵】

そういえば以前、パンの酵母を空気中からもらってパンを焼いたことがありました。パンの酵母を作るという場合、よくお見かけするのは、食べるブドウの粒などをつぶして作るのですが、これはそのライ麦版という感じでしょうか。

その1.水とライ麦の粉を用意する。


その2.水とライ麦の粉をこねる。にちゃにちゃと粘って手にくっつきましたっけ。

その3.丸めてお団子さん。

その4.上からライ麦の粉をふりかけて、そのままおいておく。

たったこれだけ? 小麦粉みたいなもんをその辺にほっといたら、カビて、く、く、くさったりしないんですかねえ。ど、どうなんでしょう。

その4.左の団子が1日たったもの。団子の表面にうっすら「亀裂」がみられます。これは発酵が始まった証拠なんだとか。なんでも、空気中にはホコリやらなんやらいろんなものが浮遊しているんだそうですが、そららのうちライ麦にとりついた菌が活動を始めたということらしい。もう1個右側にあるのは、比較のために、この日こねたばかりのライ麦団子を並べてあります。

その5.亀裂が入ったライ麦団子にまたまた新しいライ麦粉をふりかけて、おいといたさらに翌日。(スタートから2日後。)じーっと目をこらしてみると、割れ目が。


その6.こんなふうに「ライ麦団子+新しいライ麦粉をふりかける→亀裂ができる」をくり返します。なんというか、ふりかける新しいライ麦粉が酵母さんのエサになってるってイメージなのかなあ。
かくして、7日後。


団子は新たに加えた分のライ麦粉を含んで大きくなり、表面にはたくさんの亀裂ができてました。

こうなれば、パンの酵母はパンを作れるだけの酵母が充分育ちあがったということで、団子作り作業はおしまい。

その7.ここから、できたパンの酵母を使って実際にパンを作ることができます。右下の黒っぽいお味噌みたいなのが、これまで長々と時間をかけて作ってきたライ麦の酵母です。
その他の材料(フランスパン用粉+ライ麦粉+塩+水)も用意して、いざパン製作へ。

その8.上記の材料をあわせてこねたところ。

このパンには、他にドライイーストみたいなパンをふくらませる材料は何も入っていません。ですから、あの水とライ麦で作った団子だけが頼りです。こんなもんで、はたしてまともな(食える)パンができるんでしょうか?

その9.3時間後。ふくらみましたぜぃ!

その10.丸め直してしばらくおいといたりをくり返してのち、オーブンへ。
や、焼けましたあ!!

その11.半分に切って中身をのぞいてみる。気泡が少なく、わりと詰まった感じですな。

その12.食べてみた。す、すっぱいです。固いです。よおく噛んで食べましょう、な感じ。

ふ~、カッチカチの石パンでなくてよかったあ。ちょっと粘りがあり、噛みしめるとまた次のを口に入れてみたくなる味。すっぱいのに。なんかおもしろいなあ。

ちなみに、ものの本によれば、ライ麦パンの発祥地=ドイツでは、このライ麦と小麦粉が同量のパンを「ミッシュブロート」といい、ライ麦の分量が多いパンを「ロッゲン・ミッシュブロート」、小麦の分量が多いパンを「ヴァイツェン・ミッシュブロート」とお呼びになるそうな。配合ぐあいでパン呼び名を変えてるんだと知ったしだい。

それにしても、ライ麦の粉と水だけでパンの酵母ができるとは。(中世のパン作りのスタートは、こんな感じで、家の鴨居のすみっこ(ホコリがたまりやすい、つまりは、パンの酵母も集まりやすい場所などにライ麦団子を置いていたらしいです…)

目の前の空気は見てもなにかがいるようには見えないけど、いるんですねえ、なにかが。たとえばパンの酵母が。
そんで今回はうまくパンの酵母がとりついて育ってくれたけど、じつは同時に食べたらまずいようなお腹をこわすような生き物も一緒にくっつくんだそうです。だけど最終的にパンの酵母のほうが生き残ってパンになれた、ということなんだとか。ふむふむ。

なお、出来上がったライ麦団子の一部を残しておき、新たにライ麦粉を振っておいとけば、また別に新しいパンを作るときの種になり、こうして種をついでついでいけば、ずーっとパンを作っていけるという…無限ループみたい。種があれば、種作りに失敗した方にも分けてあげられるんですってさ。

こちら、その団子の一部を残して包んだもの=元種(もとだね)。

6時間後、布ごしにぷくっとふくらんでる。このなかで酵母がうじゃうじゃ生きてるんだよなあ、うん。


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